【初心者の曲作り成長日記】[第6.5回] 音楽と数学
第6回→[第6回] 協和音・不協和音
ここではより理論的・数学的になぜ12組の音の組み合わせで響きが異なっているのかについて学んでいきたいと思います。初心者が作曲を行う上でここまで詳しく学ぶ必要は無いと思います。僕も処女作を創った時にここまでは学んでいないです。ただ、このブログを書いているうちに僕自身が知りたくなったので、ここに書き留めていきたいと思います(`・ω・´)9
【ピタゴラス凄い!】
第4回で、1オクターブは周波数が2倍になる音の間隔で、とても似た響きの音に聴こえる事を学びました。実は、その事を最初に発見・解明したとされるのは、三平方の定理で有名なピタゴラス(紀元前582年~紀元前496年)でした!今から2500年も昔の話です。ピタゴラスは何人かの職人がハンマーを打つ時の音が共鳴する事に気づき、そこからハンマーの重さとの関係を見出し、自ら弦楽器等で実験を重ね、2音の響きの良さは音の周波数の整数比の単純さと関係がある事を明らかにしました!2音の周波数の比がより簡単な整数比で表わされる程響きが良いとし、2:1をオクターブ、3:2を完全5度、4:3を完全4度と定義しました。
ここで、2倍以内の範囲内で、整数比を単純さ順に(ここでは大きい方の数字が小さほど単純と定義)6番目まで挙げて行くと、[2:1]、[3:2]、[4:3]、[5:3]、[5:4]、[6:5]、...となります(区切りが見にくいので[ ] で囲んであります)。これは後に使います。
【十二平均律凄い!】
その後、長い歴史を経ながら、この響きの良い音の組み合わせを使えるような音律が出来上がって行きました。第4回で習った十二平均律が現代では主流ですが、平均律の他に純正律、ピタゴラス音律、中全音律、等があるそうです。そこは割愛して、十二平均律の各音の周波数比を見てみましょう♪ 十二平均律は、1オクターブを均等な周波数比で12等分したものです。これを数式を用いて表すと、隣り合う音(例えばド#:ド)の周波数比は全て“:1”となります。1オクターブで周波数は2倍になるので、の12乗が丁度2になりますね。これを元に十二平均律における12個の音程(2音間の音の相対的な高さ)の周波数比を計算してみると、次の表のようになります。
音名 | (※1) | 音程名 | (※2) | 周波数比 | (※3) | (※4) |
ド | C | 八度 | +12 | 2.000 | =2:1=2.000 | 0 |
シ | B | 長七度 | +11 | 1.888 | ≒15:8=1.875 | +11.7 |
ラ♭ | B♭ | 短七度 | +10 | 1.782 | ≒16:9=1.777... | +3.9 |
ラ | A | 長六度 | +9 | 1.682 | ≒5:3=1.666... | +15.6 |
ラ♭ | A♭ | 短六度 | +8 | 1.587 | ≒8:5=1.600 | -13.7 |
ソ | G | 完全五度 | +7 | 1.498 | ≒3:2=1.500 | -2.0 |
ソ♭ | G♭ | 三全音 | +6 | 1.414 | ≒45:32=1.406 | +9.8 |
ファ | F | 完全四度 | +5 | 1.335 | ≒4:3=1.333... | +2.0 |
ミ | E | 長三度 | +4 | 1.260 | ≒5:4=1.250 | +13.7 |
ミ♭ | E♭ | 短三度 | +3 | 1.189 | ≒6:5=1.200 | -15.6 |
レ | D | 長二度 | +2 | 1.122 | ≒9:8=1.125 | -3.9 |
レ♭ | D♭ | 短二度 | +1 | 1.059 | ≒16:15=1.066... | -11.7 |
ド | C | 一度 | 0 | 1.000 | =1:1=1.000 | 0 |
(※1) 低い方(表の下)の音をド(C)とした場合の高い方の音に相当する音名
(※2) 低い方の音から半音何個分高い音かを表した数字
(※3) 近似できる簡単な整数比
(※4) 十二平均律での周波数比と(※4)での簡単な整数比とのずれの度合いをセント値で表わした物。100セント=半音分の周波数比=:1
表を見ると、なんと十二平均律では、近似的とはいえ、上で上げた単純さ順で1番目~6番目までの整数比で近似できる周波数比の音程が全部網羅されている事に気づきます!12音程中6つです。しかも、ピタゴラスが提唱した最も簡単な整数比である、3:2の完全5度、4:3の完全4度は、半音の2%程度の違いしかない高精度の近似で一致しているのです!純粋に12等分しただけなのに、これは凄いと思います!これを見て、長い歴史を経て十二平均律が生き残った理由に納得しました。
一方、純正律では、上の表の分数の値そのままになるように12音を定義しています。その方がより純度の高い音程となるのですが、12音の幅が均等じゃなくなります。そうすると、例えば曲の途中で転調(キーの上げ下げ)をしたとたんに、調律が狂った音楽みたいになってしまうなど、色々不都合が生じるようです。なので、近現代ではほとんど平均律が使われています。ちなみに12分割よりもっと細かく分割すれば、例えば19平均律や31平均律だとより近似の度合いも良くなったりするんですが、分割数が細かすぎて複雑ですね;1オクターブに19や31も鍵盤がひしめいているピアノは弾きたくないです(>_<) かといって分割数が少なすぎると、少ない音程しか再現できない。12分割というのは複雑すぎず、単純すぎず、かつ美しい数多くの音程を再現できる、まさに絶妙の分割法だと感じました。音楽と数学(科学)は実は密接な関係にあるのだと知る事が出来て有意義でした♪
第6回の続きで、協和音・不協和音についての話をするので、良かったら戻ってみて下さい♪
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【参考Wiki】
19平均律, Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/?curid=2545023, Wikimedia Foundation Governance
31平均律, Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/?curid=1853395, Wikimedia Foundation Governance
音程, Wikipeia, https://ja.wikipedia.org/?curid=25078, Wikimedia Foundation Governance
セント (音楽), Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/?curid=13988, Wikimedia Foundation Governance
平均律, Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/?curid=13913, Wikimedia Foundation Governance
ピタゴラス, Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/?curid=12983, Wikimedia Foundation Governance
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