アイソスタシーのブログ

初めまして。趣味で作詞・作曲をしており、アイソスタシーという名で重音テトオリジナル曲を投稿しております。よろしくお願いしますm(_ _)m

【初心者の曲作り成長日記】[第5回]  スケール(音階)とキー(調)

第4回→[第4回] オクターブと十二平均律

第5回です。前回オクターブの定義とその12等分について話したので、今回はドレミファソラシドについての話になります。メジャースケール(長調)やマイナースケール(短調)等が出て来ます。今回からしばらくは音を鳴らす所が多いので作っていて楽しいです♪

 

【音の表記法】

 お馴染みのドレミファソラシドは実はイタリア語で、英語圏ではCDEFGABC、日本語ではハニホヘトイロハ、と呼ばれます。英語も日本語もいずれもラが始まり(ラ=A=イ)になっていますが、これは前回お話したのと同様で、ラを始まりの音と決めた歴史的経緯によるものです。コードの表記等は英語で記載されるので、ド=C、レ=D、ミ=E、ファ=F、ソ=G、ラ=A、シ=Bの対応は覚えちゃいましょう!と言っても順番の始まりがずれているだけなのでラ=Aだけ覚えればいいので簡単な作業ですね; 

 

【メジャースケール(長調)とマイナースケール(短調)】

 前回現代の音楽のほとんどはオクターブを均等な周波数比で12等分した12音のみが使われている、事を学びました。実は、現代音楽はさらにその12音のうち7音だけを使うスケール(音階:使われる音を音高順に並べた物)が最も良く用いられています。クラシック音楽から近代の国内外の流行りの音楽の多くがこの7音だけを使うスケールで作られています。その中でもさらに良く用いられるのが、メジャースケール長調)とマイナースケール短調)です。そして「ドレミファソラシド」Cメジャースケールハ長調)と呼ばれる音階で、12個あるメジャースケールの内の1つです。ここでようやく、「なぜピアノの白鍵が1オクターブ間に7個あって、黒鍵は5個しかないのか?」の謎が半分解けました!では、なぜ6音とか8音じゃなく7音を使うスケールが好まれたのか?凄く不思議に思いましたが、それも音の周波数比に伴う聴き心地の良さから選ばれていったようです。(それについて詳しく書かれた最適の本がありましたので、理系向けではありますが、興味ある方はそちらもご参照ください→(※1)

 あまり文字が続くと飽きるので、ここでCメジャースケールハ長調)であるドレミファソラシドを聴いてみましょう♪(わざわざ聴くまでも無いと思われますが、この後で比較のためも兼ねてます♪)

 さて、均等に12等分した12音のうち7音を使い、残りの5音を使わないという事は、その7音間の間隔はまちまちということになります。メジャースケールの間隔は、例えばCキーを例にとると以下のようになっています。

 ド#・レ#・ファファ#・ソ#・ラ#・

3つ目と4つ目(ミとファ)は隣接する音で、7つ目と8つ目(シとド)も隣接する音です。それ以外は1つ飛びの間隔です。隣接する、すなわち12等分した時の隣り合う音高の間隔を半音と呼びます。#と♭はそれぞれ半音上げる・下げるを意味する記号です。そしてドとレのように半音の2倍の間隔を全音と呼びます。つまり、メジャースケール長調)とは、始点の音から「全音全音半音全音全音全音半音」という間隔で並んでいるスケールの事です。この間隔で始点がC(ド)のスケールをCメジャースケール呼び、始点は12音分あるのでC、C#、D、…と12通りのメジャースケールがあります。始点が変われば音の間隔はそのままに平行移動します。

 次にマイナースケール(短調)です。短調はラから始めると白鍵だけで弾けて便利なので、ラから始まるAマイナースケールイ単調)を聴いてみましょう。

 先ほどとは感じが違って聴こえませんでしたか?これはマイナースケールが先ほどのメジャースケールとは間隔が異なる事に起因しています。マイナースケールの間隔は、Aキーを例にとると、

  ラ#・ド#・レ#・ファファ#・ソ#・

2つ目と3つ目の間隔が半音、5つ目と6つ目の間隔が半音、残りが全音の間隔です。つまり、マイナースケール短調)とは、始点の音から「全音半音全音全音半音・全音全音」という間隔で並んでいるスケールの事です。これもメジャースケールと同じく12通りのキー(調)があります。ちなみにCメジャースケールとAマイナースケールのように、使用する7音が同じ調同士を平行調と呼びます。

 メジャースケールとマイナースケールでは響きが違いましたが、よく言われるのはメジャースケールは明るい感じ、マイナースケールは悲しげな感じ、の印象を受けるとの事です。確かに僕もそのように感じますが、人によって差はあるとも言われています。両者とも使用している7音は同じなので、メジャーかマイナーかを決めるのは、メロディーの流れ(メロディーライン)やコードによって決まります。ただし、必ずしもメジャーが明るい曲、マイナーが悲し気な曲、になるわけではなく、創り方次第では逆の感じに出来たりするようです。歌詞でも印象は変わりますしね♪  この区別は第7回でコードを覚えてからが良いような気がします。

 

【キー(調)】

 先ほどから、キー(調)やスケールの始まりの音、を何の説明も無く書いてしまっていましたが、それをここから書いていきたいと思います。キーはカラオケに行った事がある人なら、歌う時にこの曲原曲キーが高いから一つ下げよう、といった経験があるかと思います。そのキーの事です。カラオケのキー1つ分は先ほど説明した半音分の上下に相当します。

 先ほどCキーのメジャースケールを聴いたので、キーを上げてみます。思い切って全音上げてDメジャースケール(二長調)にしてみます。(カラオケで2つキー上昇)

Cメジャースケールと似た感じに聴こえましたでしょうか?音の周波数比の間隔はCメジャースケールと同じなので、これもドレミファソラシドとあまり違和感無く感じられると思います。カラオケでキーを変えてもあまり違和感無く歌えるのと同じですね♪ これは重要な性質で、十二平均律によって音の周波数比は均等になっているので、キー(長)を変えてもスケール・曲の聴こえ方は基本的に変わらない事になります(もちろん高さは変わりますが)。ちなみに前回、”基準周波数の値が今と違った歴史になっていても音楽の聴き心地はそう変わらなかっただろう”と書いたのはこのためです。

 ここでやりがちな間違いがあります。始まりの音をド→レへと全音上げたので、ドレミファソラシド→レミファソラシドレ、になるんじゃね?という間違いです。レミファソラシドレを聴いてみると、

一つ上の正しいDメジャーと比較してみると、おかしい事に気づくと思います。一番上のCメジャーと似た感じなのは正しいDメジャーの方ですね。この間違いは、私達が12等分された音の内ドレミファソラシドの7音だけを覚えていているために生じやすい気がします。正しいDメジャーは、メジャースケールの間隔は上に書いたように「全音全音半音全音全音全音半音」ですので、これをD(レ)を始まりの音にすると

 レ#・・ファファ#ソ#・ラ#ド・ド#

となります。ファとドに#記号がついていますね。つまりピアノの黒鍵を2つ使うスケールという事になります(ファの右隣りの黒鍵とドの右隣りの黒鍵)。

 キー(調)は全部で12個ありますが、実はCキー以外のメジャースケールは必ず一つ以上の黒鍵を使う事になります。同様にAキー以外のマイナースケールでも必ず一つ以上の黒鍵を使う事になります。つまり五線譜に#や♭が現れる事になります。これは、始めの内は中々難しかった記憶があります;今でも#や♭が増えるほど頭が混乱してきてしまいます。なので、ピアノなど楽器を弾きながら作曲する場合、始めのうちはドレミファソラシドだけを使うCメジャー又はAマイナーで作曲をするのが簡単でおススメです(Fコードが鬼門のギターの場合は難しい所ですけど;)。パソコン上で打ち込み(入力)する際も同様です。

 問題は、CメジャーやAマイナーで創った曲が歌い手やボーカロイドの発声音域に合っているとは限らない事です。なのでその時はカラオケのキー上下と同じ要領で調を変えて合わせる必要があります。これを移調と呼びます。移調には先ほどCメジャー→Dメジャーでやったように間隔を間違えずに平行移動させれば良いので、簡単なのはパソコンで一通り入力した後に全体のキーを上げる機能を使って移調してしまう方法です。そうでなく始めから移調したキーで打ち込みたい場合は、キーは全部で12個なので移調先のスケールの早見表を見ながらが便利ですので、作ってみた早見表を載せたブログページへのリンクを貼ります。

音階早見表【音階早見表】

 一方で普段聴いている音楽は各々色んな調なので、鼻歌で浮かぶメロディーがCメジャーやAマイナーである確率は低いでしょう。なので楽器を使わずに作曲をした人は浮かんだ調そのままでいいですし、それが何調なのかは分からなくても特に支障は無いです。ただ、その曲にピアノやギター等の伴奏・コードをつけたり、ボカロ曲として投稿するためにはパソコン上に音を入力したりする必要があるので、その時は浮かんだメロディーの調を知る必要があります。そのテクニックはもうしばらく後で紹介しますm(_ _)m

 

相対音感絶対音感

 ここからはおまけなので、スキップしても良いです♪

    よくこの人は絶対音感を持っている、なんて話を耳にした事があると思います。また相対音感という言葉も聞いた事くらいはある人もいるかもしれません。まず相対音感ですが、これは音楽を聴いてきたすなわち文明人のほぼ全ての人が持っていると言われています。これは先ほどCメジャースケール(ドレミファソラシド)と次にDメジャースケール(レミファ#ソラシド#レ)を聴いて似た感じを受けた、という感覚にあたり、相対音感とはキーを上下してもその相対的な音高を取ることが出来る感覚の事です。カラオケでキーを上下した状態でスタートして、最初は音が取りづらいけど一度合ってしまえば後はスムーズに歌える、という人は十分な相対音感を持っていると思います。作曲するのにはこの相対音感さえあれば十分です。これから先、曲作り、パソコンへの打ち込みやボーカロイドに歌わせる、何て作業も相対音感とここで書いていく音楽知識があれば出来ます!絶対音感は特に無くて困る事は少ないです。

 次に、絶対音感ですが、例えばこの音、

 

この音を聴いて瞬時にどの高さの音か分かる、というのが絶対音感です。ちなみに答えはファ(F)です(白文字なので反転してみてください)。これは小さい頃の楽器に触れていると身に着きやすいと言われており、実際僕もピアノの音であればおよそ(半音くらいは間違える)分かるので、これは楽器経験のアドバンテージと言えるでしょう。ただ、僕は歌声や他の楽器になってくると厳しくなって来ます。中にはどんな楽器でも歌声でも絶対音高が正確に分かるという強者もいるでしょう。ただ、絶対音感があると便利といえば便利ですが、そこまで作曲には必要ない能力だと思います。便利な点としては、例えば鼻歌で思いついたメロディーが何のキーであるか、絶対音感があればすぐに分かるという点ですね。メロディーをそのままパソコンに入力する事も、ピアノで弾いてみる事も出来ます。ただ今の世の中、声を出したらその音の高さを教えてくれる便利なアプリもあるらしいので、それを使えば相対音感でも同じ事が出来るので、その手間が省ける程度の便利さかもしれないですね。少なくともボカロPを目指すこのブログにおいては、音はパソコン上で入力し、歌もボカロが歌ってくれるので、多少音痴だろうと絶対音感が無かろうとあまり支障は無いです!

 

【おまけ:7音音階以外のスケール】

 ここでは7音を使うスケールのみ(しかもその内メジャースケールとマイナースケールの2種類のみ)を紹介しましたが、現代音楽にも例えば5音を使うスケールを用いた楽曲はそこそこ存在するので、5音や6音を用いたちょっと風変わりなスケールについて書いたコラム的な物(音を鳴らすのがメイン♪)のページを第5.5回として書いたので、そのリンクを貼ります。興味がある方は是非♪

第5.5回→[第5.5回]  7音音階以外のスケール

【参考文献】(※1)

小方 厚, 2007, 音律と音階の科学―ドレミ…はどのようにして生まれたか, 講談社ブルーバックス

【参考Wiki

音階, Wikipeia, https://ja.wikipedia.org/?curid=16866, Wikimedia Foundation Governance

音名・階名表記, Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/?curid=1802428, Wikimedia Foundation Governance

相対音感, Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/?curid=305755, Wikimedia Foundation Governance

調, Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/?curid=27041, Wikimedia Foundation Governance

 

次回は、2つの音を同時に鳴らします♪  意味不明な次回予告ですが(笑)、次回は結構重要です!次回からは座学的ではなく、より感覚的に音楽に迫れると思うので、その心地良さが伝わるように頑張ります(`・ω・´)9

次回→[第6回]  協和音・不協和音

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